History of INFINITI Q45

  

さて。インフィニティQ45といえばこの車も忘れてはいけない。 そう、JG50型プレジデントである。

プレジデントという車はトヨタ・センチュリーと並んで日本を代表するショーファードリブンモデルである。 その歴史は古く、前身モデルであるセドリックスペシャルを進化させる形で1965年に初代H150型がデビューしている。

先代のH250(H252)型は1973年にデビューした2代目モデルである。 この辺りの歴史はセンチュリーも似たような道を辿っているのが興味深いところだ。

このプレジデントはニッサン・プリンス合併後の登場であるが、旧プリンスの影響もあって センチュリーよりも格の高い車としてエグゼクティブ層の支持を集め続けてきた歴史がある。

しかしそんなプレジデントも流石にデビューから20年近い間絶え間無い改良を続けてきたとはいえ、 その間にフルモデルチェンジを繰り返す他車と比べれば徐々に旧態化の隠せない状態となってきた。

現に、88年にオーテックが発売した特装リムジンはプレジデントではなく、当時のY31型セドリック/グロリアがベースである。 「セドリック(グロリア)ロイヤルリムジン」と名づけられたこのモデルはなんとプレジデントの倍以上の1500万円というプライスタグが掲げられ、 ある意味で旧態化の激しいプレジデントに代わる最高級セダンのような存在となっていた。 更に80年代末にかけては新鋭のシーマやインフィニティQ45といったモデルも登場し、ますますプレジデントの影は薄くなる事となった。

そんなわけでJG50型プレジデントは、89年の東京モーターショーに参考出展されたのち、H252型の後を継ぐ形で90年10月よりデリバリーが開始された。

この車は見た目からも型式からも見て取れるように、G50型のインフィニティQ45をベースに作られたモデルである。 とはいえ、プレジデントでは後席用にQ45比で約15センチもボディがストレッチされているなど、かなり手の入ったモデルである。

独創的なQ45と比べれば大きなフロントグリルにメッキモールなど、見た目はまさに高級車といった趣になっていたが、 そこはG50プラットフォームを使った車である。

スポーティなボディラインに合わせる為か、当時日産が凝っていた英国的演出のせいか、 既存の高級車が目指すドイツ車的なイメージではなく、ジャガーやベントレー的なイギリス車的なイメージに仕上がっている。

特に立派なガーニッシュを排し、小さなテールランプのみを左右の隅に配したリヤ周りの織り成す優雅な雰囲気は、 時の国産高級車たちがアメリカ的な派手な演出や、ドイツ車的な筋肉質な演出に徹していた中では、一種異質な雰囲気を纏っていた。

内容の面では、足回りやエンジンチューンがコンフォート・低速トルク重視にチューニングし直されている以外にはQ45との差異点は意外にも少ない。 目立つ所では精々後席関係の装備がQ45よりも充実しているくらいである。

当然、Q45的な面は多々あり、例えばこれだけの高級車でありながら初期モデルはQ45同様一切の木目パネルは使用されておらず、 純粋にデザインなどで高級感を醸し出す手法をとっている。 ハイポテンシャルな動力性能もほぼそのまま、トルク&コンフォートに振られているとはいえ、 そのアクティブな性格は何らQ45に劣るところは無い。

装備面ではQ45で採用されたBOSEオーディオやエッグシェル(ホワイトレザー)インテリアやKOKONインストは採用されていない。 その代わりに国産車ではほとんど採用例の無い英国コノリー社製の高級本革シートをオプションで用意する(標準の本革シートも有り)。 このコノリーレザーはQ45がKOKONインストなどをマイナーチェンジを境に捨てたのに対して、JG50型プレジデントを象徴する装備として12年間のモデルサイクルを通して設定されていた。

このJG50型プレジデントはスタートダッシュは好調であった。この手の車には珍しくテレビCMを流していたのもその要因であろうか。

ベースとなる車があるとはいえ最新の技術が惜しむことなく投じられた車である。デビューから当時で20年以上が経過して旧態化が激しかった先代H252型やライバルたるトヨタ センチュリー(当時VG40型)と比べればその出来の差は歴然であった。 が、スポーティで若々しいQ45がベースとなるスタイルが思わぬところで落とし穴になっていることに気付くまでには少々の時間が必要であった。


▲JG50型プレジデント(1990年式)
インフィニティQ45と比べれば大人しくはなっているが、それでも一気に近代化したJG50型。 270馬力/40.2kgmを発揮するVH45DE型エンジンと、油圧アクティブサスペンションが生み出す走りはコンフォータブルでありながらスポーティ。 走行性能の面ではセンチュリーがGZG50型になってからも最後まで互角以上のレベルにあった。



▲JG50型プレジデントロイヤルリムジン
変り種としては特装メーカーのオーテックからストレッチリムジンがラインナップされていた('97〜)。 2000万円超の超高額モデルだっただけに、何台売れたのやら・・・



▲JG50型プレジデント(1990年式)インテリア
エクステリア以上にインテリアはQ45のイメージが色濃く残っている。 特に前〜中期型はステアリングに刻まれた「PRESIDENT」の文字を見落とせば、Q45と間違えてもおかしくない。 JG50ならば後席用のコンソールタワーという明確な差異点はあるが。



▲JG50型プレジデント(1990年式)インテリア
流石にリヤシートともなれば豪華なことこの上ない。約15cmのボディストレッチと合わせて、 パーソナルカーであるQ45には真似出来ない空間が広がっている。



▲H252型プレジデント
最早見かけることも少なくなってしまったH252型プレジデント。 高級車といえばアメリカ車だった時代に生まれたモデルだけに、その雰囲気は往年のアメ車的なものである。 イギリス的なJG50型とは似ても似つかない存在。



▲VG40/45型センチュリー
プレジデントのライバルたるトヨタ センチュリーは当時はまだVG40/45型であった。 エクステリアこそ現在と比べても殆ど違和感は無いが、中身は古典の極み。 エンジンは4リッターV8とはいえ、セルシオでお馴染みの最新の1UZ-FE型ではなく、古典的なOHVの5V-EU型で出力は僅かに160馬力であった。