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○油圧アクティブサスペンションの研究

バネ換装で簡単ローダウン?

インフィニティQ45のアクティブサスシステムには、本来アクティブサスの原理から言えば不要なはずのコイルスプリングが装着されています。

それは何故か?というと、これはまず「油圧アクティブサスペンション」という構造上対処せねばならない問題であるところの、 油圧が無い状態の時の姿勢維持のため、つまり第一にエンジンOFF時の車高を確保するためであり、 そして第二に緊急時(故障時)のバックアップのため。

そして何よりも、アクティブサスとてサスペンションに関連する全ての入出力をアクティブに制御しているわけではなく、 一部の対処の難しい部分については従来のコンベンショナルサスの機能も借りて動作しているため、 このようにコイルスプリングも装着されているワケなのです。 (ちなみに、文字通りサスに関連する「全て」を制御するアクティブサスもないわけではないが、 レーシングカーかコスト無用の超高級車くらいしか使えないほど高い)

つまり、「普通のバネ」もあるということは、それを交換すれば車高も下がるのでは?という、 ごくごく単純ながらも当たり前の発想が湧いてくるのも当然と言えるでしょう。

仮定・その1〜何故か車高が上がる?〜

Y33シーマにおいては、どうやら実際にバネサス車用の(←ここがミソ)ダウンサスをアクティブサス車に入れた方がいらっしゃるようです。

しかし、その人曰く「何故か車高が上がった」、と。

では、何故車高が上がるのか?

1つの可能性としては、単純にアクティブサスシステムが「バネ交換で車高が下がる→下がった分の車高を補正して上がってしまう」という、 容易に想像が出来るパターン。

しかしのところ、アクティブサス車の足回りに装着されているバネのスペックというのは バネサス車のバネと比べて柔らかく、自由長が短いということが判明しました。

大体自由長比で3〜4センチほど短く、スプリングレートは1kgほど柔らかいものが入っています。

つまり、そこから弾き出される部分を勘案して考えますと、 恐らくアクティブサスのアクチュエーターに(ローダウンバネも含めて)バネサス車用のバネを入れると

(1)適切なサイズより長いバネを装着することになる
単純にバネが長くなるわけなので、その分だけアクチュエーターが押し上げられる。 バネサス車のノーマルスプリングの自由長は40cm前後あるようですが、そこから3〜4cmも短いとなると、 全体で1割程度も長さが異なるワケで、結構大きな差のような気がしますが。

(2)適切なレートよりも硬いバネを装着することになる
本来想定されているよりもバネが縮まないかもしれない。 一般的にこの車用のローダウンバネのレートは各社ともに4kg前後です。 ちなみにノーマルは2kg強ほどなので、レート自体はバネサス車でもローダウンバネを入れるだけで倍程度にはなるワケですが、 アクティブサス車に入れてしまうと3倍前後まで高くなるワケです。

(3)プリロードが増加して実質のバネレートが上がる
これは(1)と複合して現れる要因ですが、つまりこれはある意味では車高調の車高調整の原理と同じことで、 この場合無理に長いバネを押し込むわけですから、車高調で言えばバネにプリロードを掛けていく事になりますので、 実質的なバネレートが上がって車高が上がる方向に作用してしまう、と。

といった要素が重なって車高が上がる可能性が推測されます。

つまり、バネサス用のダウンサスをアクティブサスに使う意味は全く無いと同時に、 アクティブサスのアクチュエーターに合わせた長さ&レートのバネを入れてあげれば、案外簡単に?車高は下がってくれるかもしれません。

仮定・その2〜本当にバネで車高は下がるのか?〜

では、バネを換えることで車高を下げることは出来るのでしょうか?

これはひとつのヒントが整備要領書の中に隠されていました。

整備要領書を読み進めていくと、トラブルのフローチャートの中に 「エンジンを切った時に車高が下がる」という事案に対して、「バネのヘタリが原因」という回答が存在するのです。

つまり、バネのスペック次第では、エンジン切った時の車高も下がる。

少なくとも、従来マルチバルブユニット等の圧力保持バルブの開放による油圧解除(いわゆるアクティブ改)でしか対処法が無かったとされる、 「エンジンを切った時の車高復帰動作」は、もしかしたらバネの換装で解決できる問題かもしれません。

仮定・その3〜最適なバネのスペックとは〜

バネを換えれば車高が変わる。

少なくとも、従来問題とされていた停車時の車高はバネによりコントロールできるかもしれない、 という可能性が導き出されることとなりました。

しかし、当然このバネの役割というのはそれだけではないことは、一番最初に述べたことであります。

当然ながら、機構上パッシブサスの機能も一部持っているということは、 バネのスペックも無碍に出来ない要素なのでありますが、まず「アクティブサス」という機構は 常に車の意思でサスペンションコントロールが行われているワケで、 原理的には車高がどういう状態であれ、姿勢変化は全く起こさないような制御も可能なわけでありますし、 バネそのものは平常通りアクティブサスが動けるようにサポートすれば良いわけなので、 こういう点からもコンベンショナルサスのように、ローダウン分を担保するようなスペックの指定は全く必要ありません。

また、機械の制御面から見ても、ノーマル状態から外れるレート等のスプリングで運用することは、 機器の負担や制御のバランスの上から好ましくないとされています。
(最も、この辺りは文字通りメーカーの実験室レベルでの話になり、実例がほとんど無い状態なので、 実用上では不確かな部分が多いのも事実)

つまり、もしバネを換装する場合、求められるスペックはエンジンOFF時の車高を決定するための変更を除いて、 ノーマルのスペックと全く同等の性能を持つのもの、ということになるのです。

補足説明

もし、仮にバネの換装によるエンジンOFF時の車高をコントロールすることが出来たとしても、 これにはあくまでエンジンOFFの状態での話です。

というのも、アクティブサスの制御の基本として、エンジンが回っている、つまり油圧が発生して制御も入っている状態においては、 少なくとも「車高は機械の設定値に制御される」からです。

つまり、如何なるバネを入れようとも、最終的に常時車高を下げるには、サスコン・又はセンサー調整は必須要素です。

問題点

それは、バネの換装作業そのもののことである。

アクティブサスペンションのアクチュエーター自体は、見た目には油圧配管が繋がっていて、 サブアキュムレーターが脇に1個くっついている以外は、構造を含めて全く普通のダンパーと一緒だったりします。

つまり、バネの換装作業の手順自体は通常のサスペンションと何ら変わり無いわけであり、 実際交換作業が必要になった場合はそういう風にやれというように、整備要領書でも指示されているワケです。

しかし、一番の問題点がまず車体からアクチュエーターを取り外す段でありまして、 当然ながらアクチュエーターを外すにはコレに繋がっている油圧配管も当然外すよう、指示がされているのです。

まあ、考えてみれば当然の話でありますが、アクティブサスの油圧系統の取り扱いは大変シビアな上、 作業には専用の機具も必要となるわけなので、ヘタに作業をすれば壊すどころか現状復帰すら不可能になりかねません。

強引に車載のまま作業をするという選択肢も無いワケではないと思いますが、 このあたりの問題を解決しない限り、「バネ換装によるローダウン」は事実上不可能なのです。

そんな事を考えていたら

ZOOMからアクティブサス用のダウンスプリングが出ていたという、衝撃的事実(爆

つまり、アフターマーケット市場でこのようなパーツがリリースされているということは、 少なくともバネのダウンサス化に何らかの効果があるということであり、 この点においてはこの仮説はもしかしたらかなり有力なのかもしれない。

でも、ダウン幅以外はスペック不明なんですよねぇ・・・。